「民営化」は「正義」ではない

 東谷暁著「民営化という虚妄」

民営化という虚妄―「国営=悪」の感情論が国を滅ぼす

民営化という虚妄―「国営=悪」の感情論が国を滅ぼす

を遅ればせながら読了した。

 東谷暁氏は、旧発言者(現「表現者)グループ、つまり、西部邁グループに属するジャーナリストである。経済畑に詳しい。

 断言しよう。

 「郵政民営化」に代表される「民営化=正義」論は、完全に底の抜けた妄言であり、その旗振り役であった小泉純一郎氏の掲げた旗の下に集まった追随者たちの言論に何の中身も無かったのだということを。

 小泉氏に「嘘つき」呼ばわりされた荒井広幸氏は、早く名誉を回復させられるべきであろう。

 むしろ、郵政族特定郵便局長会の影響力を「抵抗勢力」と呼び、それに決然と立ち向かう自分、という、過去に自ら否定していた図式を振り回すパフォーマーであった小泉氏その人こそが「嘘つき」――デマゴーグであったのだ。

 本書を読み、それでもなお「民営化=正義」と言える人は果たしているのだろうか?、