橋下徹氏vs小林よしのり氏、理は今回は小林さんに

小林よしのり
https://yoshinori-kobayashi.com/13038/

橋下羽鳥の番組はゲッペルスの作業だ

橋下羽鳥の番組を見たら、ものすごい編集の荒業が発揮されていて、橋下のヤバい意見が全てカットされ、それに突っ込むわしの意見もすべてカットされていた。

例えば、橋下は久間大臣の「原爆を落とされたのは仕方がない」という意見に同調し、「日本の政治家は原爆投下の米国の罪を延々と言い募るつもりか?外交上、仕方がないと思わなければならないのだ」と主張した。

それに対してわしは、原爆投下が虐殺だという感覚は、今の米国人はまだ戦争体験者がいるから認められないだろうが、次の若い世代になれば、原爆投下が人類の罪だったと認めるようになるはずだと主張した。
少なくとも日本人の方から、原爆投下は止むを得ないと考えてはならない。
それは国際法の進化に背を向けることになると、わしは主張した。
以上、ごっそりカットされていた。

さらに橋下は「戦争を起こした国の政治家は今もずっと反省しなければならない」と超自虐史観を述べた。

わしは驚いて、そんな馬鹿なことがあるかと反対した。
東条英機以下、東京裁判で裁かれて絞首刑になり、アジアの各地で1600人以上(これはわしの間違い。実際は1061人)の兵士が無茶な裁判で処刑されていったのだ。
なんで今の政治家や、将来の政治家まで延々と反省し続けなければならないのだと、わしは言った。

さらに戦争についての責任は、「戦争を起こした責任なのか、戦時国際法違反を冒した罪なのか、敗戦した責任なのか」という分類がある。
一概に戦争の責任を問うことなどできないということをわしは説明した。
これもカットされていた。
あの場にいた三浦瑠麗氏や他の政治家たちも聞いていたはずだ。

そしてわしはあまりに橋下の言うことがデタラメなので、「この人間が国政に復帰したら危ない」と本人の前で述べた。
これには三浦瑠麗氏が「私もそれは小林さんの言う通りだと思う」と援護していた。

わしは橋下羽鳥の番組に出ると、ヒヤヒヤする。
あまりに無茶苦茶な意見を橋下が言うからだ。

橋下の意見はやけに政治家寄りで、マスコミや評論家を馬鹿にする。
さらに安倍政権寄りで、その政策を庇うようなことばかり言う。
それを聞いているとムカムカしてくる。
橋下に会ったことがないときよりも、会ってからの方が印象が悪くなった。

番組の前日にディレクターがわしの意見を電話で詳細に聞いて、それをパソコンで文章化し、橋下に読ませているのも変だと思う。
そのような事前検閲的なことを他の出演者にも行っているのか?わしだけか?

事前に知らされた情報では、橋下が「女は子供を産む機械」という意見まで庇っていたことを知り、わしはそこは徹底的に批判するからと伝えたのだが、収録当日には、政治家の失言から外されていた。
わしと真っ向対立になるのを避けているようだ。
おそらく「自由貿易か、保護主義か」で一対一の対決をやった時の敗北が尾を引いているのだろう。

やっぱり討論番組は「ナマ」でなければダメだ。
「編集」で印象操作してしまうのはダメだ。
田原総一朗の「朝まで生テレビ」がいかに際どいことをやっていたのかが分かった。
クロスファイア」も、収録した翌日に放送されたが、ほとんど生放送同然だった。

発言者の印象が操作できない「ナマ」の危険さは、司会の田原氏が望まぬアンケート結果が出たりもする。
北朝鮮を武力攻撃すべし」が一番多くなったりして、田原氏が「今の時代はこうなんだ」と嘆いていたが、それが生放送のスリルなのだ。

橋下羽鳥の番組は、まるでヒトラーを神格化するゲッベルスの仕事のようだ。
あの編集の技が上手いということは褒めておく。
だが、橋下をヒトラーに育て上げる危険性に気づくべきだ。
このような番組に出ることは、わしの良心が疼くので、もう出ない。


 橋下徹
https://mobile.twitter.com/t_ishin/status/861784288261398528

@t_ishin
 やっぱり小林よしのりはバカだった。人の話を理解する能力が欠如しているし自分が絶対的に正しいと勘違いしている。日本の戦争を自衛戦争だと完全に正当化してアメリカの原爆投下だけを非難する矛盾に気付かない。為政者は両行為について反省し、国民は和解するという俺のロジックが理解できない。

https://mobile.twitter.com/t_ishin/status/861786079505956864

@t_ishin
 小林よしのりのくその役にも立たない抽象論を持ち上げている連中がいるのが不思議だ。小林は現実の政治の悩みなどを全く気にしない無邪気な乳幼児のよう。番組で憲法論をはじめ現実の政治を少しは教えてやろう思ったがもう出演しないだって。自分を持ち上げてくれる現実知らずのお友達と仲良くやってろ

私は、小林さんとも橋下さんとも意見が異なりますが、これは、橋下さんが酷いですね。無茶苦茶です。
橋下さん周りでは、いつか見た光景……というか、いつも見る光景(笑)ですが、単なる罵詈雑言にしかなっていないです。論点をすっとばして「バカ」と言い募っています。逐次反論しない時点で負けを認めたと同じことです。

私の場合、小林さんともちょっと違って、先の戦争は、徹頭徹尾日本の自衛戦争だったとは考えていません。
日本の自衛戦争だった側面と侵略戦争だった側面、両方の側面があったと考えています。
重慶爆撃など議論を呼んでいる論点もあります。
むしろ、日本は、遅れてきた帝国主義――まだ侵略戦争や植民地を持つことが「完全悪」とされていなかった時代に、欧米より一足遅く帝国主義に踏み込んできた極東の国だと思っています。
その植民地統治の仕方が優れていた、とか、欧米の植民地と違って良いことをいっぱいした、ということとは別に、論理として、確かに「侵略」と言われても仕方の無い側面があったのだ、という認識です。しかし、それが「完全悪」という時代では無かった、ということです。

以前のエントリにも少し書きました。

TVタックルからあの戦争を。田母神俊雄の考え方の矛盾に理路を通す―西部邁流に

http://d.hatena.ne.jp/manji_ex001/20140520/1400579900


アメリカによる広島・長崎への原爆投下や東京大空襲等々は、非戦闘員の大虐殺です。当時においても国際法違反でしたし、許すべからざる種類のものでした。それは、日本の真珠湾攻撃などとは比べるべくもありません。

だからといって、例えば中国や韓国が日本に対してやっているように、何度も何度も大声で謝罪を要求する、などという無粋なことを言いたいわけではありません。
そんなことはすべきではないと思っています。
ただ、西部邁さん流に言えば、我々日本人ひとりひとりが胸の中でそのことをしっかり確認しておくことが重要なのだと思っています。

「少なくとも日本人の方から、原爆投下は止むを得ないと考えてはならない」、小林さんの言う通りだと思います。

「戦争責任」の分類なども、小林さんは正しいことを言っていると思います。

また、橋下さんは、度々、「抽象論」を「抽象論に過ぎない」として全否定してみせますが、これは、「抽象論」の重要性をわかっていないとしか言いようがありません。

「抽象」の次元で物事を把握できない人は、単なる「現実『主義』者」に堕するからです。
「理想を抱くこと」は間違いではないけれども「理想『主義』」が間違っているように、「現実を見ること」は間違いではないけれども「現実『主義』」は間違いなのです。

どちらかの「主義」に堕することは、どちらかを見えなくしてしまうのです。

小林さんは小林さんで、ちょっと前はこの番組絶賛して、「朝生」に批判的だったので、それについては「どっち?」と思ってしまいますけれども(笑)。