亀田家にみる「有言実行」とそのリスク

 亀田興毅ランダエタ戦、第二戦目は、おおかたの予想通り亀田の勝利に終わった。
 確かに圧勝ではあったが、ダウンも無しの判定勝利であり、あの試合内容であれば、ボクシングの試合としては「最高に面白い!」と手放しに賞賛できた試合とは到底言えない。
 だから、今後も同じような試合内容の防衛戦が続けば、人気・視聴率的に下降線を辿るのではないかという感じもする
 が、昨日の試合は、とりあえず「勝ち」に徹した手堅い試合をしたということで納得したいと思う。
 ともかく、感極まった涙は、家族愛に満ちていた。

 本当は、小型和製のマイク・タイソンとかナジーム・ハメドが観たいのだけれど。

 「礼儀」については、弟・大毅もそうであったが、試合後、相手を称える場面もみられ、前回「バッシング」をした方々の言葉も「いくらかは」届いたようで、ようやくいくらかは改善されたと思う。
 これは、周りの大人たちの問題であった。
 (それにしても、大毅のあの相手も「またか……」と思わざるを得ないマッチメイクであった)

 ということで、今回の試合のことはいいとして、話は「有言実行」のことである。

 「有言実行」というのは、不言実行」というのが「口でぐちゃぐちゃ言わずに、黙って実行してみせること」をさし、「美徳」とされていたものに対して、「敢えて口にすること」によって自分を追い込み、ないしは、衆目を集め、そして、「その言葉通りに実行してしまう」、「それって格好良いじゃない」というところから始まったはずだ。

 当たり前のことだが、「有言実行」というのは、だからこそ、凄いのだ。

 失敗したら、「有言不実行」だったら、何を言われてるかわからない、何を言われても仕方がない、そのことを了解し覚悟を決めた上でなお実行してしまうから凄いのだ。
 だから、首尾が「不実行」に終われば叩かれる、というのは、当たり前の大前提なのである。

 つまり、「よってたかってバッシングしやがって……」というのは、「有言実行」の意味がわかっていない、手前勝手な言い分であって、それがイヤなら、最初から、言葉を発しなければ良かっただけの話である。「衆目を集める」という「見返り」に、リスクを背負うのは当然のことだ。

 いずれにしろ、今後の亀田一家に注目したいと思う。