妻と僕―寓話と化す我らの死

妻と僕―寓話と化す我らの死

妻と僕―寓話と化す我らの死

★★★★☆

西部邁さんが、「連れ合い」であるMさんが末期癌になったのを"契機"に、「生と死」「女と男」「金銭と名誉」「孤独と交際」「幼年期と老年期」「異邦と祖国」といった事柄について、思想家として様々な考察を巡らせた書き下ろしの新刊です。目次を読めばわかるように……というか宣伝文句や本の帯をみれば一目瞭然ですが、これは、いわゆる看病記ではありません。あくまでこれは、(己の「自死」についてまで改めて表明している、と書くと物騒なようですが)不思議と清清しい読後感の、西部邁さんらしいまっすぐな思想書でした。左だ右だ、などという分類から離れて、広く読まれて欲しい本であります。