「大衆」と「庶民」(西部邁)1-2

昨日のエントリで、「整理」のとっかかりとして、

【整理】「大衆」と「庶民」、いわゆる知識人こそ大衆である。(西部邁)1
http://d.hatena.ne.jp/manji_ex001/20120213/1329136215

を書きました。

しかし、この「大衆の病理」。

大衆の病理―袋小路にたちすくむ戦後日本 (NHKブックス)

大衆の病理―袋小路にたちすくむ戦後日本 (NHKブックス)

昔の本なので、久しぶりに再読しているのですが、引用すべきところだらけ――というより捨てるべきところがないし、論理が有機的に結合している――が為に、早くも挫折しそうになってきました、この試み。

西部邁さんの著作といえば、西部邁にしか書けなかった名著とされる難易度トリプルAの「知性の構造」

知性の構造 (ハルキ文庫)

知性の構造 (ハルキ文庫)

や、保守思想史を網羅的に紹介・分析している、最近文庫化され復刊した、「思想の英雄たち」

思想の英雄たち―保守の源流をたずねて (角川春樹事務所 ハルキ文庫)

思想の英雄たち―保守の源流をたずねて (角川春樹事務所 ハルキ文庫)

の陰に隠れていますが、社会科学的に保守思想にアプローチし、微に入り細を穿って「大衆論」「保守思想論」を非常にロジカルにわかりやすく実証的に書かれているという意味で、西部邁さんの代表作にして入門書と言っていいくらいではないか、と感じるに至りました。

ともすると、東京MXテレビの「西部邁ゼミナール」などの西部さんの発言を観て、言説や、人間性までもが「誤解」される向きもあるようですが、この「大衆の病理」は、NHK教育テレビでの講義が基になっているので、そういう誤解の入り込む余地がないのです。

是非とも復刊して欲しいところです――もう、NHKブックスからは絶対に出ないでしょうけれども。