ネオナチの暴走−20年前の西部邁の予言。
ドイツ：ネオナチが連続殺人容疑、トルコ系移民ら１０人襲う 首相「ドイツの恥だ」
【ベルリン篠田航一】外国人や移民を敵視するドイツの極右ネオナチの男女３人組が００〜０７年に、トルコ系移民ら計１０人を次々に殺害していた疑いが強まり、ドイツ社会に衝撃が走っている。９０年の東西ドイツ統一以来、ネオナチによる移民襲撃は散発的に起きているが、これほど大規模な連続殺人が明るみに出たのは初めて。メルケル首相は「ドイツの恥だ」と強く非難した。
独メディアによると、射殺されたのは軽食スタンド経営などのトルコ系男性８人、ギリシャ系男性１人と、ドイツ人女性警察官１人。現場は北部ハンブルクや南部ミュンヘンなどドイツ全土の７都市にわたり、これまでは「トルコ系マフィアの抗争」との見方が有力とされていた。
だが今月４日、銀行強盗の疑いで警察に追われていた３８歳と３４歳の男２人が中部アイゼナハで自殺し、この２人と同居していた３６歳の女が警察に出頭したことで事件が急展開。３人が住んでいた東部ツウィッカウの民家の家宅捜索で、被害者の遺体を撮影したＤＶＤや、射殺に使用されたとみられる銃が見つかり、一連の事件は３人の犯行だった可能性が一気に高まった。
３人は「国家社会主義地下組織」を名乗るネオナチで、捜査当局は９０年代から爆発物所持容疑で行方を追っていた。だが長年身柄を確保できず、その間に捜査対象をマフィアなどに集中していた当局への批判の声も上がっている。
まだ子どもでしたが、ずっと「朝生」――「朝まで生テレビ」を夜更かしして没入して観ていた時期がありました。
まだまだ「進歩的文化人」の強い時代で――今ですら本当の意味での保守が根付いているとは言えませんが――保守派の論客としては、西部邁さんくらいが孤軍奮闘していた時代でした。他にも独特のスタンスでいわゆる「サヨク」「進歩的文化人」にも「似非保守」にも批判を加えていた呉智英さんとタッグを組んだりしていた回もありましたが、ある回のとき、「進歩的文化人」たちが、「ドイツでは第二次世界大戦で自分たちの犯した過ちをちゃんと子どもたちに教えている。素晴らしい。日本もそうするべきだ」と口々に言い募ったときがありました。
まあ実際には、ドイツは「ナチス」の過ちを教えていたわけで、厳密にはそうではないのですが、西部邁さんは、そのとき次のようなことを言いました。
「それはむしろ反面教師として捉えるのが本当でしょう？ 現に見てご覧なさい。今のドイツには『ネオナチ』という存在が出始めている。そういう欺瞞的なことをやっていけば、いつか人々の心には澱のようなものが溜まって噴出する。今の日本に『右翼』はいても『ネオナチ』はいないでしょう？ そんなことやっていたら日本にも『ネオナチ』とでも呼べる存在が出て来ますよ」
――確かな予言だったと今でも思い返すことがあります。
