島田紳助芸能界引退。武田鉄矢の喩えは違うと思う。


紳助さんの話。(この間のテレビでも言っていた)

武田鉄矢さんがテレビで語っているのを見て、「ああこれやな」と思いました。「山はてっぺんまで登ったら、ゆっくりうまく下りないといけない。それで初めて登山成功だ。下山できなかったらそれは遭難だぞ」とテレビでおっしゃっていました。

鉄矢さんにも若い時にかわいがってもらって、その言葉を胸に下山しようと思ったのですが、山のてっぺんから向こうが崖で転げ落ちてしまいましたが、それも僕らしいかなと思っています。

 はっきり言いまして1回は、一瞬てっぺんに半年くらい上ったので悔いはありません。僕がてっぺんに乗った半年間を親友の(明石家)さんまが確認してくれましたので、その時に自分の中で一瞬てっぺんに立ったという自覚だけは持っています。

確かに、ここ2年くらいの紳助さんは、自他ともに、お笑い界のてっぺんにいる、と認める芸人でした。

タモリさん、たけしさん、さんまさん、ダウンタウンなどを抑えて……。

ただ、武田鉄矢さんは、含蓄のある言葉をたびたび披歴する、個人的には好きな方で、喩えも上手な方ですが、この喩えは的外れですね。

よくプロボクシングの世界で言われるように、チャンピオンのまま引退する=山のてっぺんにいながら引退するのも「美学」なら、お笑いの世界であるように、徐々に人気が下がっていき、番組も減り出番も減りながら、それに身を任せ、段々とフェードアウトしていくのも、また「美学」です。

そこに「遭難」はありません。登山の喩えは合いません。

大橋巨泉さんや上岡龍太郎さんが前者なら、ビートたけしさんの生き方などは後者でしょう。

久米宏さんは、「ニュースステーション」降板後、新たなテレビ番組をいくつか失敗していますから、ちょっと当てはまらないですかね。萩本欽一さんもカムバックに失敗しているから、これも当てはまらない。

(追記:サムさんから、これは武田さんの言葉を曲解した紳助さんの勘違いだとの指摘がありました。詳しくはここをご覧ください。http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110607/220531/

紳助さんの場合は、事故のようですが、後には前者のように語られるようになると確信しています。


個人的には、もともと紳助さんが嫌いなわけではなかったし、今でもそうなのですが、ここ数年、ちょっと鼻につくように感じていたのが、紳助さんが、己の体験と思考だけで、全てを解ったように語る、というものでした。

それは、誰かの話やVTRを引き取って「うん。それは、こう考えて、こう思って、こうこうこうなるから、こう思うんですよね」といったように半ば強引に同調圧力で同意を迫る、全て紳助さんの脳内で処理する言葉の数々であり、自分の人生経験と合わない人を否定するかのような言葉の数々でもありました。

感動押し付け路線も、正直、あまり好きではありませんでした。
「大体こんなもんやろ」といった感じで、ありがちな歌詞などを提供するのもちょっと気になっていました。

こういう点で、2011年のアンケートで「嫌いなタレント」第1位になってしまったのだろうなと思います。

それでも、漫才ブーム時代を振り返って楽しげに、懐かしげに己語りをしている紳助さんのことは微笑ましく観ていました。

ともかく、「良かれ悪しかれ」、今後、今回の紳助さんの突然の芸能界引退は、「てっぺんにいるときにスパッと引退をした潔いあっぱれな引き際だった」と言われるようになります。どんな情報が出てこようと、時間が経てば経つほど……。

きっと、数年後、テレビにびっくり飛び入りちょい出演、とかはあるんじゃないかと思っていますが、何はともあれ、とりあえず、長い間お疲れ様でした。