昨今の政治状況と三橋貴明さん、中野剛志さん、『表現者』のこと。

昨今の政治状況とそれを巡る飛び交う言説の数々、正直、筆を執るのに気が重いのです。

新自由主義で、なおかつ、いわゆるサヨクとは一線を画す本当の意味での保守思想を支持する界隈の人たちは、皆さん同様の気持ちだと察します。

ここ数年の西部邁さんではないけれど、最近あまり情報収集をしておらず、チャンネル桜の放送もほぼノーチェックなのですが、人間関係が色々と錯綜しているようですね。

まず、三橋貴明さんのことです。

安倍さんに批判的な論考を以前から書いていた中野剛志さんの文章をご自分のサイト「『新』日本経済新聞」に載せ続けておられたり、消費税増税に論理的な反対をされておられたり、その公平性と基本的な現状分析の正しさを示しておられた三橋さんですが、やはり、ここにきてわかったことは、三橋さんはちょっと腰が軽すぎたのではないか? ということです。

無知蒙昧な自分ですら、安倍総理がTPP交渉参加を表明する以前の2月6日のエントリで、

大丈夫かな、安倍さん・・・・・・

以前のエントリで私は、「安倍さんはアメリカニズムへの警戒が薄い気がする」と書きましたが、やはり安倍さんは、構造改革派から抜け切れていなかったのでしょうか。

日に日に心配になってきます。杞憂であればいいのですが。

とりあえず、竹中さんを追放するところから始めていただければ、不安も消えていくのでしょうが。

舵取りへの助言、軌道修正、お願い致します、西田昌司さん。藤井聡さんも踏ん張ってください。


と記していました。「やっぱり安倍さん、駄目だった? いや逆の意味で」とのエントリも6月に記しました。

が、三橋さんは、「TVタックル」、安倍さんがTPP参加を表明する直前の放送で「(安倍さんはTPP交渉参加表明なんか)しませんよ!」と断言しておられました。

また、

こういう著作も出しておられました。

腰が軽いといえば、中野剛志さんも少々過激な物言いをなさることが多い性分であられますが、一貫して安倍さんの言葉そして行動に懐疑的だったことの正しさは、今回は証明されたことになります。

三橋さんは、ちょっと安倍さんを信頼しすぎてことの成り行きを見誤っていたのでは? 公の言論人としては慎重さを欠いていたのでは? と言わざるを得ません。

この点は、TPP関連で安倍総理を批判した東谷暁さんを否定し切り捨てたチャンネル桜水島総さんも同様だったと思います。(過去形にしていいのかよくわかりませんが……)

また、同じくチャンネル桜の討論で、「安倍総理礼賛」の旨を発言し、西部邁さんに「それはミスリードになる」とたしなめられた三浦小太郎さんの「私は断乎、安倍総理を支持する」という文章を大きく『表現者』の巻頭に持ってきた富岡幸一郎編集長も、やや手を誤ったかもしれません。

「消費税増税やむなしではないか?」という主旨の発言をチャンネル桜でしていた西部邁さんにも、西田昌司さんや脇雅史さんを庇う気持ちがあったのでしょうが、やはり情報をもっと得ておくべきだったのではないか、との批判もあるでしょう。ただ、早くから、安倍さんに過剰な期待をすべきではない、と喝破されていたあたりは、さすがだと思います。

ともかく、左を向けば「公共事業、バラマキ反対!」、右を向けば「TPPだ、規制緩和だ!」という言論状況において、そのどちらも向かず真っ直ぐに隘路を行くことは、綱渡りよりも難しいことだと思います。さしずめ、安倍さんは、その両方に身体が分裂しつつある、というところでしょうか。氏の人間性は、誠実な方だと思ってはいますが……。

竹中平蔵さんや小泉進次觔さんがいまだに持て囃され、重宝・重用される現在は、非常に厳しい状況の中にある、と言えるでしょう。

とりあえず、「小さい政府」「新自由主義」「市場原理主義」「規制緩和」「グローバリズム」などという言葉を見聞きしたら、眉に唾をつけ、しばし立ち止まって考えてみる、これくらいしか今の私に出来ることはなさそうです。

これ、

保守とは何だろうか (NHK出版新書)

保守とは何だろうか (NHK出版新書)

と、これ、

を待ちながら……。