普遍主義とテロリズムと大阪維新の会と。

『見えない道場本舗』のグリフォンさんの以下の記事がすこぶる面白いです。

『寛容は「普遍」を経て不寛容となる』〜欧州の反イスラム運動を解説した大必読論文
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120427/p2

さすがグリフォンさんです。毎度のことながら、呉智英さん言うところの「教師の知性」「医者の知性」を地でいくバランスの取れた素晴らしい考察・紹介記事だと思います。

自分の場合、「中庸」を志してはいるものの客観的にはおそらくそうではないので、その視線から、この問題に関連する事柄を書くと、西部邁さんが、イスラムの側の視点から、2004年にこういうことを語っていたことがあります。


 この前のテロリズム、9.11テロのことを言えば、少しこれは単純化のしすぎですけれども、要するに近代主義モダニズムというのは、自由・平等・博愛といった軽はずみなものにそろそろ世界に普遍的な価値だというふうに思いがちの傾きを指す。つまり、モダニズムというのは、ユニバーサリズム、普遍主義である。この普遍主義をかざしている国はどこか。アメリカだから、ユニバーサリズムは、おおよそイコール、アメリカニズムである。アメリカニズムとは何か。アメリカ的な価値なり、やり方を世界に押しつけようとする意味でのグローバリズムである。

 グローバリズムというのは、ほかの国々の歴史を破壊するわけだから、当然のことながら、国の歴史を破壊されれば、そこで虚無主義ニヒリズムがほかの国々にわだかまってくる。したがって、グローバリズムはほかの国にとっていえば虚無主義ニヒリズムの台頭である。そして、人間はニヒリズムに耐えられないので、ほぼ必ずや価値の原点を探し求めて、いわゆるファンダメンタリズムへと回帰するであろう。しかしながら、ファンダメンタリズムは、バイブルであろうが、コーランであろうが、そう簡単に現実化できませんから、この理想と現実のギャップの中で、ファンダメンタリズムは、必ずテロリズムへと近づいていくであろう。

 だから、あえて一直線にいえば、モダニズムユニバーサリズムであり、ユニバーサリズムアメリカニズムであり、アメリカニズムがグローバリズムであり、グローバリズムが要するにニヒリズムをもたらし、ニヒリズムテロリズムをもたらすという脈絡で考えれば、あの9.11テロその他のものは、アメリカが自分たちで結局は招いたものだ。それをどう表現するかは、また政治の問題ですから大変難しいと思いますが、そんなことは私に言わせれば常識として押さえておかなければならないのに、アメリカ人が押さえられないのはいた仕方ありませんが、日本人までもがそれに引きずり込まれていくというのはとんでもないことだと実は思っておりました。

イスラム原理主義に引きずり込まれていく必然を語ったものです。

また、西部邁さんの門下である中野剛志さんが最近よく語っているところでもありますが、サッチャリズム橋下徹さんとの共通点というのも確かにあります。

サッチャリズムといい、レーガノミックスといい、小泉構造改革大阪維新の会橋下徹さんの主張と見事に連なるものです。

そして、小泉改革にしろ、橋下さんにしろ、インフレのときに適した政策を、長いデフレ下にあるこの現在の日本で行った、行おうとしている、という誤謬が指摘されているのです。

加えて、それらは、どれも「長期政権」となる、何故なら、誰かが脱落していっても「自己責任だ」の一言で、責任を取らずに済むから……思い切り端折って言えば、そうなります。

いやあ、怖いですね〜。