イチローと言霊

  • 本日、2009-3-19、WBC、明日の韓国戦で勝てるのか、イチローがヒットを打てるのか、皆目見当がつきませんが、2007-01-06 のエントリの冒頭でちょっと自分で触れていたことを書こうと思います。 

各所で報道されていますが、今日、キューバ戦で3塁打を含む2本のヒットを放ったイチローが、ここまで自分の心の内をさらけ出したのは初めてではないでしょうか。

「3打席目のバントの失敗で、ほぼ折れかけていた心がさらに折れて、僕だけキューバのユニホームに見えた……」
「ほぼ折れかけていた心をギリギリでつなぎ止めた。きょうの結果は天国行きか地獄行きかを決める試合。天国に行けて良かった。流れ(注:勢い)をくい止めていたのは完全に僕だった。本当に支えてくれて、ありがとうと思った。チームメートがつないでくれるというのはすてき」

それほど野球が好きなわけではないのですが、前述エントリで書いたようにイチローが好きです。

イチローが、まるで冷徹漢や自己顕示欲ばかり強いナルシストのように語られる向きがあります。

この風潮は、日米問わず、近年がとりわけですが、間違いなくあります。

しかし、違うのではないか、私はずっとそう感じていました。

先日引退した清原が「イチローをサイボーグみたいに思っていたが、実は熱い男だった」という風に評したのは記憶に新しいところです。

  • 僕が思うに、まず、マスコミ嫌い・マスコミ不信であること、これが一番の誤解の元でしょう。

読まれるべき本「ICHIRO―メジャーを震撼させた男」の著者であるボブ・シャーウィン氏は、

イチローや佐々木がメディアを敵視するのはおかしい、三流ゴシップ誌がいくら自宅まで写真を撮りにくるからといって、スポーツ記者まで信用しないのはお門違いだ、

というようなことを書かれていましたが、

日本では、そのあたりの線引きが難しく、元を辿れば同じ出版社だったりするわけですから、イチローや佐々木、野茂や中田英寿、その他多くのトップアスリートやタレント諸氏にその線引きを要求するのは酷ではないでしょうか。

そして、枚挙に暇がないほど、それら人々がマスコミ不信に陥る要因を考えれば、原因は「羽織ゴロ」の側に多々あるのだろうと推測しても大きく間違っていないでしょう。

  • 第二に、イチローは、ほとんど弱音を吐かない、調子が悪くても本音を話さないというのがある、あったと思います。

無口が、メディアにもチームメイトにも誤解を招くというわけです。

それは、調子が悪いか悪くないかなんて見て察してくださいよ、というのも先日コメントしたようにもちろんあるでしょうが、口にしてしまうことによってより悪化する、ネガティブな自己暗示を避けるため、というイチロー独自の言霊的な考えに帰結すると思うのですが、どうでしょうか。

いずれにせよ、頑張れイチローっ! とここは単純ですが思いを込めた言葉で締めくくっておきたいと思います。